ある日を境にシングが昏睡状態に陥った。
そんな知らせを届けたのは、意外にもカルセドニーだった。
日々寧日として世界を飛び回っているコハク達にも連絡が行ったらしい。
シングは今、帝都にいる。
旅が終わった後、アイツは何も言わずに旅立った。
何故かはわからなかったけど、何か考えがあるのだろう。
そう思い、追い掛ける事はしなかった。
その旅の途中で帝都に立ち寄ったそうだ。
カルセドニーとマリンさんに挨拶をした次の日、城に泊まったシングが何をしても起きないと、メイドから報告があった。
皇帝専属医師に見せても原因は解らず、スピリアに原因があるのかと疑ったが
既に結晶騎士達のソーマは破壊されているからスピルリンクも出来ない。
そこで俺達に知らせが来たのだ。
俺は両手に嵌めたソーマで数段格下な敵の急所を射抜きながら足早に港に急いでいた。
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「お兄ちゃん!」
船に揺られて漸く着いた港で久々に聞いた声がした。
船酔いの残る体を動かして妹の元にフラフラと歩く。
「コ、コハク…久し振り、だな…。」
「うん、久し振り!」
「ヒスイ〜…まだ船慣れてないの?」
「仕方ねぇだろ…最後に乗ったの、いつだと思ってんだよ…。」
「そんな事はさて置き、帝都に急ぐわよ。薬上げるから、ヒスイはこれでも飲んでおきなさい。」
イネスから薬と水を受け取り飲み込む。
水のお陰で少し楽になった体で深呼吸をした。
「…よし、じゃあ行くか。寝くたばってるバカシングを起こしによ!」
「うん!」
「仕切んないでよぉ!」
「あら、いいじゃない。」
そんな風に騒ぎながら街道に出る。
騒ぎながらも全員がシングの事を気にしている。
伝わる空気が伝染して自然と歩みが早くなった。
その時はまだ知らなかったんだ。
シングが長き眠りについた、その理由を。
NEXT.
リクシェアも行き当たりばったりですがこっちの方が行き当たりばったり度が高いです。
大体の設定は考えてあるのですが、流れは考えてない。
リクシェアもそうですが、だいたいの長さも見えてません。
長くなるか短くなるかは私の頭次第ですね。
頑張ります!