「ロイドとクラトスってさー、案外似てるよね。」



ジーニアスのその言葉が始まりだった。


がちゃん。

音を立ててスプーンを今料理を食べていた皿の上へと落としたのはクラトス。



「何処がだよ、ジーニアス!」



何時も何かとクラトスに突っかかるロイドは睨むようにジーニアスの方を向く。

対するジーニアスはそれを何でもないようにかわすと、「だってねぇ」としいなに話を振った。



「そう言えば、戦った後の決め顔というか…仕草が似てるねぇ。こう、髪をかきあげてさ。」

「私も思ったよ〜。それと、トマトが嫌いな所も似てるよね?」

「顔立ちも何処となく…かしら?」



そこだけだろ、と反論しかけたロイドを遮ってコレット、リフィルが続けざまに言う。

ロイドは不機嫌を隠そうともせずに頬を膨らませる。



「似てねーよ!それにトマトはしょうがないだろ!?」

「好き嫌いはダメだよ、ロイド。」

「コレットだってピーマ…っ」



最後まで言葉が続かなかったのはコレットの後ろに何かが見えたから、らしい。

そんなロイドをコレットは笑みを崩さずに気遣った。



「…ロイド?どしたの?」

「いっいや、なんでも…ありません…。」



尻すぼみになっていくのを聴いて「どしたのかな〜?」と問いかけられたしいなは「アンタって…恐ろしいね。」とただ呟いた。



「って、そうじゃなくて!」



どうしても前言撤回させたいロイドは先程から黙りっぱなしになっているクラトスに振り返った。



「アンタも黙ってないで言い返してくれよ!」

「あっ…ああ、…いや、その……だが、しかし…………………。」



相当混乱しているらしい。



「すっ、少し顔を洗ってくる!!!」



そのまま、砂漠の方へと突っ走って行ってしまった。

後に残されたのはハテナを頭いっぱいに咲かせた面々。



「何だったんだ…?」



ロイドの呟きに答えられるものは誰も居なかった。



「…あれ?何のことでムカついてたんだっけ?」

「はぁ〜…ボク、ロイドのそういう所も好きだよ。」



呆れるように言ったジーニアスに、ロイドは再度頬を膨らませた。





「いかん…私とした事が、こんな方まで…。」



あれから世界の反対側まで、途中から羽も使って来てしまったクラトスは懐からレーダーを取り出した。



「ロイドの鎧にコッソリ付けておいた発信機…まさかこんな事で使うとはな。」



苦笑いしたクラトスは、こんな事でなくても犯罪だということに気づいてはいないようだ。
そして、発信機の示した方へと飛び立つ。

新しい鎧を手に入れた事により、ロイド達がそれを売り払っていた事も知らずに…。


それから暫く、各地で「ロイドぉぉぉぉぉ!」という雄叫びが響き渡ったとか。




end.

一年前のもの。
クラパパはこんな感じの変人でいいと思う。