いつものように宿屋に居たら、いつものように声を掛けられた。



「シーガル、世界樹の麓行くんだけど一緒に来てくれない?」

「あぁ、わかっ…!」



リストに誘われて振り向き様、俺は一瞬にして固まってしまう。



「…シーガル?」



不思議そうな声で我に帰ると、リストの手を掴み泊まっている部屋へと直行する。



「シーガル!?ちょっ、痛っ!」

「………。」

「リスト?シーガル!?どこ行くのさ!」



モルモが呼び止めていた気がしたが、無視した。

扉を閉めると漸く手を放す。
リストは手をさすっていた。無意識のうちにそこまで力を込めてしまったのだろうか。



「シィ、どうしたの?モルモも置いてきちゃって…」

「それ。」

「え?」

「バーサーカーメイルは着るなと言っただろう!」



そう、今リストが着ているのは露出度の高いオレンジ色。
臍も、肩も、細腰すら他人に見せびらかしてしまうそれ。正直、恋人としては面白くない。



「だって、剣士に転職したばっかで他の着れないんだもん。仕方ないでしょ?」

「他にもあるだろう!」

「これ以外、このレベルで着れる鎧、売っちゃったんだもん!」

「ならば買えばいいだろう!!!」

「ッ…!」





思わず叫んでしまってからハッとする。


リストは吃驚したのか、少し目を潤ませていた。上目遣いに睨まれ、怒りからか顔は赤い。
その上、バーサーカーメイルだ。

…ヤバい、可愛すぎる。



「リス…」

「ばか。」

「はっ?」



小さく、だがハッキリと聴こえた。

…ばか?



「シィのバカ!そのくらいで怒ることないじゃん!魔神剣!」

「ぐはぁっ!」



渾身の一撃を喰らい、地に臥せる。
リストはバタンと大きな音を立ててドアを閉め、泣きながら走り去ってしまった。



「リス…ト…」



がくっ。


その後、俺は宿屋の店主が掃除に来るまで生死の境をさ迷っていた。
(因みにリストはあの後、リフィルを誘って行ったらしい…。)





教訓

独占欲も程々に。




end.

一年前の文。需要無さ過ぎる^^
マイソロ2にシーガルは居るのだろうか?